
先に結論を言うと:まず、自分の目的をはっきりさせましょう。そのうえで、指導の質、目配り、安全、衛生、スタッフの姿勢、日々の過ごしやすさを見てください。かける時間とお金に見合うものが得られるかを比べ、できれば長期で申し込む前に、一度体験してみてください。有名だから、安いからという理由だけでは、自分に合うジムかどうかは分かりません。
この記事の内容
- まず、自分が何を求めているか考える
- 最優先は、指導の質
- 一人のトレーナーが、何人の生徒を見ているか
- 誰が教えるかだけでなく、何をどう教えるか
- 言葉は、思っている以上に大切
- 安全管理とレベル分けを見る
- 衛生管理は、私が最も重視することの一つ
- 有名選手が必ずしも優秀な指導者とは限らない
- 有名なジムに通うだけでは、有名にも、上手にもなれない
- 長く滞在するほど、立地が大切になる
- 練習以外の時間にも目を向ける
- 毎日ここで過ごしたいと思えるか
- 料金だけでなく、その価値を見る
- 口コミは、一件の評価より繰り返し出てくる声を見る
- ウェブサイトは、写真だけで判断しない
- 長期で申し込む前に、一度体験してみる
- いちばん貴重なのは、お金ではありません
タイには、数多くのムエタイジムがあります。
バンコク、チェンマイ、プーケットをはじめ、タイ各地には何千ものジムがあります。有名選手が所属するジム、大規模な国際アカデミー、昔ながらの小さな地元のキャンプ、滞在型のトレーニングリゾート。その形もさまざまです。
これだけ選択肢があるなら探しやすそうに思えます。
実際には、かえって迷うことも多いものです。
特に、ムエタイが初めてならなおさらです。初めての人には、どのジムも驚くほど似て見えます。リングがあり、サンドバッグがある。トレーナーがミットを持ち、誰かがInstagramに載せるキックの動画を撮っている。
でも写真だけでは、そこでの練習が実際にどんなものなのかは分かりません。もっと大事な「そこで何を、どれだけ学べるのか」も見えてきません。
そこで、目に見える分かりやすいものに頼りたくなります。
料金の安さ。
ジムの知名度。
有名な選手が在籍している。
おしゃれなSNSの投稿。
どれも悪いことではありません。ただ、それだけで自分に合うジムかどうかは決まりません。
最初にお伝えしたいのは、
誰にとっても最高のムエタイジムなど、ありません。あるのは、自分の目的にいちばん合うジムです。
まず、自分が何を求めているか考える
ジムを比べる前に、ムエタイで何をしたいかを考えましょう。
試合に出たいのでしょうか。
プロの選手を目指しているのでしょうか。
初めてなので、基礎からきちんと学びたいのでしょうか。
主な目的は体力づくりでしょうか。
タイ旅行の合間に、一度だけムエタイを体験したいのでしょうか。
それとも、数週間、数ヶ月滞在して、本当に上達したいのでしょうか。
目的によって選ぶジムも変わってきます。
毎週選手を試合に送り出す昔ながらのキャンプは、若いプロ志望の選手には素晴らしい環境かもしれません。でも、グローブを着けたこともない45歳の初心者には、最適とは限らないでしょう。
その逆も、もちろんあります。
「どのジムがいちばん良いか」より先に、
「ムエタイを通じて、自分は何を得たいのか」。
そこから始めてください。
ここで、私がどんな立場でこの記事を書いているのかも、お伝えしておきます。
私は、中立的な第三者としてジムを評価しているわけではありません。ムエタイが好きで、自分ならどんな環境で練習したいかを、長く考えてきた一人として書いています。
これからお話しすることの多くは、The Campをつくるときに、そのまま指針にしてきたことでもあります。
自分自身が通いたいと思えるムエタイジムをつくりたかったのです。
基礎をきちんと教える場所。
生徒の動きを見て、修正してくれる場所。
高い衛生水準を保つ場所。
トレーナーがプロとして振る舞う場所。
安全を大切にする場所。
数日だけでなく長く滞在しても、練習以外の時間まで楽しめる場所。
ですから、自分の考えを持たない中立の立場だと言うつもりはありません。
もちろん、あります。
これは、ムエタイ好きの一人が考えるジム選びの話です。役に立つ部分を、ご自身の選択に生かしてください。
最優先は、指導の質
タイへムエタイを学びに来るなら、まず大切なのは指導の質です。
ただし、「ムエタイの動きをすること」と「ムエタイを教わること」は違います。
腕や脚を動かす。
サンドバッグを打つ。
ミットを蹴る。
90分汗をかいて、疲れ切って帰る。
良い運動にはなるでしょう。
でも何かを教わったとは限りません。ただ単にムエタイの動きを使って体を動かしただけです。
本当に上達したいなら、基礎が何より重要です。
構え。
ガード。
バランス。
フットワーク。
パンチ。
キック。
デフェンス。
一見、初歩的なことばかりです。でも、その後の上達は、ほとんどここで決まります。
その意味で、ムエタイはゴルフに少し似ています。最初に身に付ける動きは、思っている以上に大切です。
最初に間違った動きを覚えてしまうと、その場だけの間違いでは済みません。崩れた土台の上に、次の技術を積み重ねることになります。
そうした状態のまま、一年、二年と練習を続けている人を見てきました。最初のボタンを掛け違えたまま、その先も留め続けているようなものです。
やがて癖が深く染み付き、上達が大きく滞ることがあります。
逆もまた、同じです。
最初から基礎をしっかり磨けば、その後は驚くほど順調に進むこともあります。
だからこそ、経験者以上に初心者に確かめてほしいのです。
「このジムは、基礎をきちんと教えてくれるだろうか」。
「楽しく、たくさん汗をかけたか」だけでなく、
「きちんと基礎を教わっているか」を。
一人のトレーナーが、何人の生徒を見ているか
大きく、にぎやかで、活気のあるジム。
印象的に見えるかもしれません。
ただ、学ぶ側にとって、大きさが必ずしも利点になるわけではありません。
私が見るのは、トレーナーと生徒の人数のバランスです。
一人のトレーナーが同時に何十人も担当すれば、一人ひとりに使える時間には限界があります。
良い運動はできるかもしれません。
クラスに参加し、ミットを打ち、サンドバッグを蹴って、くたくたになるまで動けるでしょう。
でも技術を伸ばしたいなら、それだけでは足りません。なぜガードが下がるのか。なぜ蹴った後にバランスを崩すのか。なぜパンチの力が伝わらないのか。なぜ足がもつれてしまうのか。それを見抜くために、トレーナーが一人ひとりを見る時間が必要です。
修正には、観察が必要です。
観察には、時間が必要です。
満員のジムがどれだけ立派に見えるかより、私が知りたいのは、
自分を、どれだけ見てもらえるか。
活気のあるクラスの一員になるのは、楽しいことです。
でも、50人の中に埋もれて、誰にもきちんと見てもらえない。それは別の話です。
誰が教えるかだけでなく、何をどう教えるか
ムエタイの指導で、見落とされがちな点です。
トレーナー個人のスタイル、知識、性格に大きく依存しているジムもあります。
一人のトレーナーから、このやり方を教わる。
次のトレーナーからは、逆のことを言われる。
三人目は、また違う方法を示す。
経験のある選手なら、違う視点を吸収し、自分に合うものを選べるかもしれません。
初心者には、何が正しいのか分からなくなるだけかもしれません。
特定のトレーナーに頼りきったジムには、もう一つ問題があります。
ジムの質が一人の優れたコーチにかかっているなら、その人が辞めたらどうなるのでしょうか。
指導の軸まで、一緒になくなるかもしれません。
だから私は、個々のトレーナーだけでなく、ジム全体に一貫した指導方針と方法があるかを見ます。
もちろん、トレーナーの個性も大切です。得意分野、経験、好きなテクニックは違ってよいのです。
そうした違いがあるのは、むしろ良いことです。
ただし、どのトレーナーにも共通する、指導の土台は必要です。
基礎の考え方が、一貫していること。
教える筋道が、一貫していること。
月曜と火曜で担当が変わっただけで、別の格闘技を習っているように感じてしまうのは困ります。
その一貫性こそ、ジムとして指導体制が整っているかを見極める手がかりになります。
言葉は、思っている以上に大切
ムエタイは、見て学べる部分も多くあります。
でも、真似やジェスチャーだけで伝わることには限界があります。
なぜ、ここに重心を置くのか。
なぜ、この角度なら力が伝わるのか。
なぜ、この瞬間に腰を回すのか。
なぜ、パンチの最後で力が逃げるのか。
なぜ、この防御姿勢は隙をつくり、別の姿勢なら防げるのか。
格闘技の動きには、物理学、解剖学、スポーツ医学などが関わってきます。
見せるだけでは伝わらず、言葉で説明する必要がある場面が必ず出てきます。
タイで学ぶ海外の生徒にとっては、テクニックについて会話できる程度に英語が通じると、大きな助けになります。
トレーナーに完璧な英語を求めるわけではありません。
大切なのは、そこではありません。
「なぜですか?」と聞いたときに、納得できる説明をしてもらえるかどうかです。
ボディランゲージで「違う、そうじゃない、こうだよ」と言われるだけでは、いずれ理解の深さに限界が来るでしょう。
安全管理とレベル分けを見る
厳しい練習と、良い練習は同じではありません。
特に初心者は、レベルをどう分け、スパーリングなどをどう管理しているかを見てください。
希望すれば、誰でもスパーリングできるのでしょうか。
それとも、生徒の経験やディフェンス能力、力がコントロールできるかどうかを見てから、スパーリングの可否を判断するのでしょうか。
スパーリングは、自分の安全だけに関わるものではありません。
相手の安全にも関わります。
きちんとしたジムなら、上達には段階があることを分かっているはずです。
初心者には、まだ対応できない場面に放り込むのではなく、次の段階に必要な力を身に付ける時間が必要です。
二週間のムエタイ旅行に来て、最初の三日で怪我をし、残り十一日を練習できずに過ごす。そんな無理をしても、何の自慢にもなりません。
良いジムなら、むやみに怪我をさせずに、生徒を上達させられるはずです。
衛生管理は、私が最も重視することの一つ
もっと重視されてよい点だと思います。
ジムをつくるとき、私が特にこだわったのは衛生でした。
内装のデザインではありません。
高級そうに見えるかどうかでもありません。
衛生です。
ムエタイジムは、そもそも清潔に保つのが難しい環境です。
たくさん汗をかく。
裸足で練習する。
床に触れる。
同じサンドバッグを打つ。
ミット、グローブ、道具を、一日中繰り返し使う。
汗や皮脂、唾液が、床や道具に付くこともあります。
同時に、格闘技では小さな切り傷や擦り傷もできやすいものです。
この二つが重なると、衛生は見た目の問題ではなくなります。
健康と安全の問題になります。
ごく小さな皮膚の傷から、軽い皮膚感染が始まることがあります。汚染された傷口が感染し、より重い場合には、蜂窩織炎などの感染症が起こることもあります。
スポーツの場での皮膚感染と衛生については、CDCのアスリート向け感染予防ガイドも参考になります。
だからジムを見るとき、整頓されているかだけでは判断しません。
衛生に、どれだけ真剣に取り組んでいるかを見ます。
ただ、ここで気をつけたいことがあります。
ほとんどのジムは、「清潔です」と言うでしょう。
でも、清潔の基準は人によって違います。
ある場所では十分とされる状態も、日本やヨーロッパなどから来たゲストの感覚では、不十分に見えることがあります。
本人たちは清潔だと考えていても、私の基準とは大きく違う場所を見てきました。
知りたいのは、「掃除をしているか」だけではありません。
どこまで徹底して清潔にしているかです。
マットをきちんと洗浄・消毒しているか。
汗で濡れた場所を、すぐに処理しているか。
何度も使うミットや道具を、どう管理しているか。
トイレやシャワーは本当に衛生的か。それとも、床に水を流しただけか。
気になる臭いが残っていないか。
共用するものを、適切に手入れしているか。
私にとっては、どれも大切なことです。
私の基準は、あえて厳しく設定しています。
こんなふうに表現することがあります。
自分の赤ちゃんが、この床をハイハイしても気にならないだろうか。
もちろん、ムエタイのマットに赤ちゃんを連れてくるべきだ、という話ではありません。
伝えたいのは、その清潔さの基準です。
それくらい、安心できる環境にしたいのです。
ムエタイジムは汚くて当たり前、という考えには賛成しません。
不衛生さを、「本場のタイらしさ」で済ませるのも違うと思います。
むしろ、逆です。
多くの人が汗をかき、裸足で練習し、道具を共用する場所だからこそ、衛生の水準は高くあるべきです。
豪華なジムである必要はありません。
道具がすべて新品である必要もありません。
でも衛生では、私は妥協したくありません。
有名選手が必ずしも優秀な指導者とは限らない
私が重視するもう一つの点は、トレーナーの振る舞いと職業倫理です。
ムエタイの選手として強いことと、人に教えるのがうまいことは、まったく別です。
素晴らしい戦績があっても、指導が得意とは限りません。
遅刻する。クラスの途中でやる気をなくす。生徒を直しもせず、ただ立っている。明らかな間違いを見逃す。酒の臭いをさせて来る。どれほど立派な戦績があっても、それで許されるわけではありません。
私は、プロとして振る舞うトレーナーを求めています。
プロとして、生徒との適切な距離を守ることも大切です。
ムエタイの指導では、姿勢、腕の位置、腰の角度、バランスを直すために、身体に触れることがあります。
それは、指導の一部です。
でも、プロのトレーナーなら、必要な修正と不要な接触の違いを理解しているはずです。
女性のゲストへの指導では、特に重要です。
海外までムエタイを学びに来たのに、トレーナーに不快な思いをさせられたことが、一番の記憶になってしまう。そんなことはあってはなりません。
きちんとしたジムには、明確な行動基準が必要です。
時間を守る。
クラスに集中する。
ゲストを尊重する。
指導に必要な接触と、それを超えた接触を区別する。
ハラスメントを許さない。
不適切なことが起きたら、運営側が対応する。
大切なのは、プロとしての姿勢を、個々のトレーナーの人柄だけに任せないことです。
ジムが基準を設け、それを守らせる必要があります。
有名なジムに通うだけでは、有名にも、上手にもなれない
有名なジムや選手に惹かれるのは、自然なことです。
その気持ちは、よく分かります。
憧れの選手と同じ場所で練習するのは、うれしいものです。一緒に撮った写真が、旅の大切な思い出になるかもしれません。
それは、何も悪いことではありません。
ただ、自分のムエタイを上達させることが目的なら、有名かどうかは別の話です。
世界的な選手がそのジムにいるからといって、自分の構えを直すために時間を使ってもらえるとは限りません。
ガードを修正してもらえるとは限りません。
キックの問題を見つけてもらえるとも限りません。
有名な選手が同じ建物にいることと、良い指導を受けられることは別です。
憧れのジムで練習すること自体に価値を感じるなら、それも存分に楽しんでください。
ただし、知名度と、一人ひとりへの目配りを混同しないことです。
長く滞在するほど、立地が大切になる
一回だけなら、場所はそれほど気にならないかもしれません。
一ヶ月通うなら、大きな違いになります。
人里離れたジムも、数日なら特別な体験に感じられるでしょう。
でも数週間もたてば、コーヒーを飲むにも、いつもと違う食事をするにも、薬局やスーパー、病院へ行くにも、毎回遠くまで移動しなければならない生活に、不便を感じるかもしれません。
一方で、真剣に練習することが目的なら、私は繁華街の真ん中も選びません。
騒音、お酒、夜更かし、次々と目に入る遊びの誘い。そんな環境では、練習して、食べて、体を回復させ、また練習する生活を続けにくくなります。
私の好みは、その中間です。
街の騒音や誘惑からは、少し離れている。
でも、暮らしに必要なものからは遠すぎない。
そのバランスがあれば、日常生活を不便にしすぎず、ムエタイに集中できます。
練習以外の時間にも目を向ける
最近は、リングやサンドバッグだけでなく、さまざまな設備を備えたムエタイジムが増えています。
サウナ。
アイスバス。
プール。
カフェ。
レストラン。
ワークスペース。
サウナやカフェがあっても、キックがうまくなるわけではありません。だからといって、どうでもいい設備ではないのです。
一週間、二週間、数ヶ月と滞在すれば、クラスは一日の一部にすぎません。
朝に練習し、食事をして、コーヒーを飲み、数時間仕事をして、休み、午後にまた練習する。その後は回復の時間。
それを同じ場所や、その近くで無理なくできれば、滞在全体が過ごしやすくなります。
とてもシンプルな、昔ながらのキャンプが好きな方もいます。
練習、休息、食事、仕事を両立できる場所を好む方もいます。
どちらも、間違いではありません。
ただ、しばらく滞在するなら、90分のクラスだけで判断しないでください。
残りの時間を、どう過ごすかも考えましょう。
毎日ここで過ごしたいと思えるか
料金表だけでは分からない、大切なことがもう一つあります。
その場所の文化です。
トレーナー。
スタッフ。
ほかのゲスト。
全体の雰囲気。
人と人の話し方。
歓迎されていると感じるか。
毎朝ジムへ行くのが楽しみか、それとも気が重いか。
一ヶ月滞在すれば、その人たちは毎日の生活の一部になります。
そうなると、考えるべきことは、
「良いトレーニング施設か」だけではありません。
それに加えて、
「この人たちと、毎日一緒に過ごしたいか」ということです。
これは、決して軽く見ない方がいい。
料金だけでなく、その価値を見る
高ければ良いとは、思いません。
安ければ悪いとも、思いません。
手頃な料金で、優れたトレーナーがいるジムもあります。
高額でも、生徒が大勢の中に埋もれるジムもあります。
だから、料金だけでジムを判断しません。
その料金で、どれだけのものを得られるかを見ます。
そのためには、何が含まれているかを確かめる必要があります。
同じ料金のクラスでも、経験できる内容はまったく違うかもしれません。
クラスは何人か。
個別の修正を、どれくらい受けられるか。
ミット打ちの時間はどれくらいか。
どの施設を利用できるか。
道具のレンタルは含まれるか。
サウナやアイスバスは使えるか。
ほかに、どんなサービスがあるか。
聞きたいのは、単に、
「いくらですか」ではなく、
むしろ、
「その料金で、何を得られますか」。
タイなら何でも安いはず、という前提で来るのも、慎重になった方がよいと思います。
質を保つには、費用がかかります。
良いトレーナーにも。
十分な人員配置にも。
道具の整備にも。
高い衛生水準にも。
良い施設にも。
いちばん高いものを選べばよい、という意味ではありません。
バランスを見てほしい、ということです。
口コミは、一件の評価より繰り返し出てくる声を見る
行ったことのないジムを知るうえで、口コミは役に立ちます。
ただし、一件ずつを冷静に読むことが大切です。
何百人、何千人ものお客様を迎えていれば、熱烈に褒めてくださる方もいます。
反対に、とても厳しい口コミもあります。
絶賛でも怒りでも、感情の強い一件だけからは、あまり多くは分かりません。
私が見るのは、繰り返し出てくる内容です。
多くのゲストが、個別に見てもらえたと書いているか。
初心者が、丁寧に教わったと繰り返し書いているか。
衛生について、何人も触れているか。
スタッフがプロらしいという声が、続いているか。
そうした共通点は、参考になります。
悪い評価を見るときも、同じです。
訪れた時期も違う、互いに面識のないゲストが、トレーナーの常習的な遅刻、スタッフの不適切な態度、女性への不適切な行為を繰り返し指摘しているなら、見過ごせません。
極端な口コミが一件だけなら、あくまで一人の感想かもしれません。
同じ話が繰り返されるなら、別です。
だから、私が聞きたいのは、
「いちばん怒っている人は、何と言ったか」ではなく、
むしろ、
「多くの人が、何を繰り返し伝えているか」。
この違いは、大切です。
ウェブサイトは、写真だけで判断しない
ジムのウェブサイトも見ます。
きれいなサイトが、良い指導を証明するからではありません。
それは、別のことです。
素晴らしい地元のジムにも、ごく簡単なサイトしかない、あるいはサイトがほとんどない場所はあります。
気になるのは、自分たちのことを明確に説明できるかです。
何を大切にしているか。
初心者をどう教えるか。
クラスはどう進むか。
料金に何が含まれるか。
どんなルールがあるか。
安全について、どう考えているか。
どんな方針を設けているか。
ゲストが当然知りたくなることに、答えているか。
運営をよく考えているジムは、何をしているか、なぜそうするかを説明できるものです。
説明が明確だから、必ず良いジムとは限りません。
でも、説明が明確かどうかには、運営する側の考え方や姿勢が表れます。
サイト、SNS、口コミを、合わせて見てみてください。
実際に足を運ぶ前でも、その場所の文化がある程度分かるはずです。
長期で申し込む前に、一度体験してみる
最終的には、自分で見ることに代わるものはありません。
サイトを全部読む。
SNSを調べる。
口コミを百件読む。
それでも、ジムに入って初めて分かることがあります。
できるなら、長期の申し込み前に試してみてください。
一クラス。
一日。
数日。
それだけで、分かることもあります。
トレーナーは時間どおりに来るか。
自分の動きを、本当に見てくれるか。
写真で見たとおり、清潔か。
スタッフは、質問にきちんと答えるか。
事前に聞いていたことと、実際の内容が合っているか。
雰囲気が好きか。
何より、明日も来たいと思えるか。
長いムエタイ滞在は、ホテルの部屋を予約するだけとは違います。
ジムが、毎日の暮らしの一部になります。
ほかの人の評価だけでなく、自分の目で見て感じたことも信じてください。
いちばん貴重なのは、お金ではありません
最後に、私が最も大切にしていることです。
ジムを選ぶとき、お金は大切です。
でも、そこで費やす最も貴重なものは、お金ではありません。
時間です。
仕事や生活を調整し、
航空券を買い、
遠くまで移動する。
そして、一週間、二週間、一ヶ月、あるいはそれ以上の時間を、トレーニングに使います。
同じ七日間をタイで過ごす、二人を想像してください。
一人は大人数のクラスに埋もれ、一生懸命動いて汗をかく。でも帰るとき、自分が何を学んだのかよく分からない。
もう一人は、動きを直してもらい、基礎が身に付き、自分では気付かなかった間違いにも気付く。来たときより確かに上達したと実感して、一週間を終える。
どちらも、七日間を使いました。
でも、その七日間から得たものは同じではありません。
お金は、また稼げます。
人生の一週間は、戻りません。
だから私は、ただいちばん安いジムを探すことはしません。
いちばん高い、有名な、豪華なジムを自動的に選ぶこともしません。
一つの条件だけでなく、すべてを見て判断します。
指導の質。
基礎。
トレーナーと生徒の人数のバランス。
指導方法の一貫性。
コミュニケーション。
安全。
衛生。
プロとしての振る舞い。
立地。
練習以外の時間を過ごす環境。
その場所の文化。
そして、料金と得られる価値のバランス。
タイで最高のムエタイジムを見つける必要はありません。
そもそも、誰にとっても最高のジムなど存在するのか、私にも分かりません。
それよりも、見つけてほしいのは、
自分に合うムエタイジムです。
この記事が、その選択の助けになればうれしく思います。
