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執筆者の写真Danny

タイのムエタイジムあるある

更新日:6月4日



昔と比べて最近は多くの日本人がタイのムエタイジムを訪れるようになりました。特にViet Jetの大阪-チェンマイ直行便ができて以来、ここチェンマイにも毎年たくさんの日本人が来ます。


今日はタイで300箇所以上のムエタイジムで実際にトレーニングした経験のある私が、タイのジムあるあるについて、思いつくまま書いてみたいと思います。


タイのムエタイジムあるある


  1. 有名な選手がいるジムあるある

せっかくタイに来たならSuperbonやBuakaw、Seanchai、Rodtang など有名選手がいるジムに一度は行ってみたくなるものです。まず、最初に言っておきますが、そもそも彼らはジムにいません!試合だのムエタイ以外の広告のお仕事だのお遊びだの、有名選手たちは忙しくてジムには居ないことが多いです。ジムにたまたま居たとしても一般人は一緒にトレーニングできるわけでもなく、そもそも相手にもしてくれないので、結局「あーブアカーオだっ!」「本物だー!」「あとで写真撮ってもらおう」程度で終わってしまいます。で、ついでに言うと、彼らのトレーナーは選手専属トレーナーですから、あなたはフツーのどこにでもいるレベルのトレーナーとミットして終わりです。そう、彼らは看板選手目当てのお上りさん観光客専用のトレーナーなのです。そしてどこのジムに行っても練習メニューは同じだった、、、という、不思議なタイのテンプレートカルチャーを体験することになります。

とはいえここは「地獄の沙汰も金次第」というなんとも素敵な国タイ!たとえ有名選手であっても気前よく日本円で4万円ー6万円くらいチップ払えば30分くらいミット付き合ってくれるかもしれません^^


2. ジムの環境

正直に言います。タイの多くのムエタイジムは汚いです。というか、半端なく汚いです!

そもそも日本とタイでは衛生に対する認識がまるで違います。一般の日本人からすると耐えられない環境でも、ムエタイやってる連中は全然へっちゃらです。全く気にも留めません。そもそも清掃するとか衛生面で気を配るという発想が皆無なのです。なぜなら生まれた時からそういう環境で育ってきているから。ちなみにバンコクやチェンマイに住む中上流階級の一般タイ人たちですら、そうやすやすとムエタイジムなどには足を踏み入れません。同胞にも敬遠されるような汚いムエタイジムがほとんどなのです。これが現実。

たとえばトイレ。裸足では絶対に足を踏み入れたく無い聖域です。だいたいのジムがシャワーとトイレが一緒になっています。誰かの脱ぎ捨てのパンツがそこらに転がっていたりします。ジムでのトレーニングが終われば足の裏は真っ黒。マットには多くのどこかの誰かの大量の汗と唾液が何年にもわたってこびりついています。その年季の入ったマットの上で腹ばいになって腕立て伏せや腹筋をさせられます😅ヘビーバックもばい菌だらけ。バッグを蹴る際にスネにすり傷でもあろうものなら秒で蜂窩織炎になります。

さすがにいくつかの大手のジムでは清掃要員を配置し、ある程度の清掃は行なっていますが、そこはやっぱりおっちょこちょいのタイ人。一応目に見えるところは掃除してますが、リングに放置されているミットやグローブからはなんとも言えない香ばしい臭い?が漂ってたりします。これもタイあるあるですが、清掃のおばちゃんはほとんどタイ人ではありません。ほぼほぼミャンマー人かラオス人なんです(または山奥の山岳民族)そもそも彼女たちには日本人ほど高い衛生意識がないため、くまなく綺麗に掃除しろと言っても限界あるし、細かいところまで目が届かないのです。普通に自分の拭いてる窓の下で鳥が死んでてもそのまま放置して立ち去るような人たちですから。。。


ホテル併設のジムもありますが、部屋に入るとカビ臭い、シーツが微妙に湿っている、シーツに臭いが残っている、天井や壁に色んな虫たちがうごめいている、シャワーのお湯が出ない、トイレがすぐ詰まる、クーラーが効かない、冷蔵庫が冷えない、すぐ停電する、などなどツッコミどころ満載です。これならジムの近くの良さげなホテルに泊まってジムまで通った方がマシです。


3. トレーナーがテキトー

これもタイ人あるあるです。

彼らは月給制。したがって決められた時間でなるべく楽して1日をつつがなく終えたいのです。頑張って一生懸命情熱をもって教えても、テキトーに流してもしょせん給料は同じ。旧共産主義国の労働者と同じメンタリティです。

ただ、多くのジムはプライベートレッスンだけは歩合制となっているので、プライベートレッスンになるとトレーナーたちは俄然張り切ります。逆にいうとプライベートレッスン以外のグループレッスンはテキトーに流すというのが極めて一般的なのです。


さらにWork Ethicsの低いタイ人ですから、遅刻、無断欠勤は当たり前。可愛い女の子のビジターがくれば親切にハンドラップを巻きにいってあげるし、ボディタッチは当たり前。なんならクリンチング(首相撲)まで指導したがります。レッスンそっちのけでラインやインスタの交換は日常茶飯事。ジムの名前は伏せますが、あるかなり有名なジムのチーフトレーナーはいつも酒臭く、インターバル中にもビールを飲んでる始末。これをご愛嬌というべきか、「人生楽しんでるなぁアイツぅ😍」と優しい眼差しをなげかけるか、あなたの心の広さ次第です。


4. 練習のクオリティが低い

残念ながら多くの日本人の期待とは裏腹に、タイの多くのジムの練習はしょぼい、というか正直得るものはほとんどないと言っても過言ではないでしょう。

タイマッサージを受けたことのある人はわかりやすいと思いますが、タイのジムはまさにタイマッサージのシステムそのもの。

例えば、あなたの右の肩が張っていて、今日は右の肩を重点的にほぐしてくれとリクエストしても、そんなことは意に介さずマニュアル通り足先から始まっていつもと同じような流れで最後まで進んでいきます。左右同じ回数だけ肩揉んで終わり😅彼らはあくまでもマニュアルに忠実な人たちなのです!


ムエタイジムのトレーニングもこれと似ています。ゲストのレベルやスキルの差に関係なく、全員一様にロープスキッピングから始まりシャドーボクシング、ヘビーバッグ、ミット、クリンチング、フィジカル、ストレッチで終わる、という流れで、完全にテンプレート化されています。(ジムによってはマススパーリングもあるっちゃあありますが、一般的に長期滞在のゲスト対象の場合が多いです)タイのジムに行くとほとんどどこも同じメニューだったというコメントは枚挙にいとまがありません。


タイ人は基本的に無駄に頭を使うことが嫌いです。できれば前例を踏襲し、決まったことだけを忠実にやったほうが楽なので、あえて新しいドリルを考えるとかメニューに変化をつけるといったことは絶対にしません。余計な仕事を増やしたく無いのです。


言葉の問題が一番大きいとは思いますが、多くの場合、タイ人のムエタイトレーナーはコーチ(指導者)ではなく、単なるミット持ちという位置付けでしょう。

なのでゲストがどんなにおかしなフォームでパンチ打ってても、バランスを崩しながら不恰好なキックを蹴ってても、いちいち動きを止めてわざわざ修正してくれることは少ないのです。まあ日本人にとってタイ人と細かいコミュニケーションをすることはそもそも不可能ですし、結局のところ抗うことのできない Language barrier のために、トレーナーたちは自らパンチやキックをやってみせて、もっとこうだの、あーだの、身振り手振りで説明するしなく、また教わる側もなんとなくそれでわかったような気がしてるだけ、というパターンです。ま、そんなので上達するわけありませんよね。


5. トレーニングが属人的

一方で多くのジムでトレーニング哲学やトレーニングメソッド自体が確立されていません。トレーナーから何かスキルを教わるにしても、結局はそのトレーナー個人のスキルや経験に依存することになります。スキルのある経験豊富なトレーナーにあたればラッキーですが、経験の浅い下手くそなトレーナーにあたれば悲惨です。トレーナーの中にはまったく初心者に自分の得意な飛び膝蹴りなどトリッキーな技を教えるような輩もいて、まるで個人パフォーマンスの祭典。もう無茶苦茶です。仮にそのジムにスキルのあるトレーナーがいたとしてもあなたが次に来た時には彼はすでに他のジムに移っていなくなっているかもしれません。


6. それでもタイのジムのいいところ、、、

もちろんタイのジムが全部ダメなところばかりだと言うわけではありません。いいところをあげれば、どこのジムもトレーナーの数は日本のジムよりは多いはずなので、日本でありがちな1人わずか2分2ラウンドのミット、しかも順番待ち、みたいなことは少ないかもしれません。(ただプーケットなどの観光地などのジムはめっちゃ混んでるところもあり、そうなるとゲスト一人一人には目は届きません。まあその時は行儀良く列に並んでください。


選手を多く抱える名門ジムでは看板選手以外にもそれなりの強い選手がいますので、うまくいけばマススパーリングなどの相手をしてくれる可能性もあります。ただし、念のために言っておきますが、タイではガチスパーリングはしません。多くの日本人が勘違いしていますが、タイ人にとっては試合でもないのに、金ももらえないのになんでガチの撃ち合いせなあかんの?怪我したらどないすんねん?って冷ややかな対応されます。(そういえば以前、タケル選手がゴリゴリいってインスタでノンオー選手にブチギレられてましたね😅)

何事も郷に入っては郷に従えです。

なのでタイではせいぜいやれてもマススパーリング程度です。ただマススパーと言ってもクリンチング同様、タイ人に好きなように弄ばれます。腕試しにすらなりません。終わってみて「やっぱタイ人体幹つええ!」みたいな謎の感想を残して日本人は帰国してゆくのです。これ日本人あるあるです😅


練習環境という点においてはタイは世界最高レベルであることには変わりません。生活費はざっと日本の1/3から1/2。タイはご飯も美味しいし何しろ安い。さらにチェンマイやバンコクなどの都市では試合もほぼ毎日あるし、いくらでも実践経験は積めます!(中には週に3回とか試合出てる頭のおかしなやつもいます😅)ジムが大都市から少し離れた郊外ならラントレの環境も申し分ありません。


「人は環境の産物」という言葉がありますが、このような最高の練習環境を求めて、最近ではヨーロッパに加えて中央アジアや中東、中国などからたくさんの選手・アスリートが長期でタイにムエタイ修行に来るようになりました。


いかがだったでしょうか。これを読んでうんうん、と頷いてる人もいるでしょうし、もちろん異論を唱える人もいると思います。もちろんタイの全てのジムがこのようだとは言いませんが、ただタイで誰よりもたくさんのジムを見てきた私の偽らざる感想であり、現実とはそんなにズレていないと思います。日本の皆さんには甘い幻想と現実とのギャップを知っていただきたいと思います。


さて、ザ・キャンプムエタイアカデミーがオープンしてから早いもので7年が経ちました。おかげさまでタイのジムの中でも世界中から最も高い評価を受けるジムの一つにまでなりましたが、とはいえ私たちもまだまだ完全ではありません。


もともとは、タイのムエタイジムに圧倒的に足りない点・欠けている部分を、日本人の美意識・感性でどのように補完していくかが、ザ・キャンプムエタイアカデミーの出発点でした。実はこれこそが、ザ・キャンプムエタイアカデミーをチェンマイで立ち上げた理由なのです。まず私たちは、上記のような「タイのムエタイジムあるある」をなくすところから始めました。まだまだ道半ばです。日本式マネジメントのもとでタイのムエタイジムはどう変わるか?というある意味この社会実験を通して、自分なりの答えを見つけようと試行錯誤する毎日です。


まだまだ至らない点も多々ございますが、引き続き文化や慣習の異なるタイの人たちと団結し、協力し合いながら、「士魂商才」の精神をもって、さらなる高みを目指すべく日々粉骨砕身するつもりでおります。


今後とも皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

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