top of page
執筆者の写真Danny

Yet Another Camp in Chiang Mai チェンマイのもうひとつのキャンプ

更新日:8月3日

今日はムエタイキャンプではなく、チェンマイのもう一つのキャンプについて書きたいと思います。


先日、ある方のご紹介でElephant Rescue Parkというキャンプに行ってきました。

ここはチェンマイの北にある象たちの保護区です。

タイの長い歴史の中で象は貴重な労働力として利用されてきましたが、同時にお金目的のサーカスや見世物として人間に不当に利用されてきました。

このキャンプにはアンフェアで不遇な扱いを受けて来たタイ全土の象たちが、一人の心ある青年によって助けられ、ここで保護されています。


初めて伺った時、私の目の前に突然、長靴をはいて全身泥だらけの青年が現れました。

私がタイ語は話せないと言うと、彼はいきなり流暢な、しかも非常に格式高く丁寧な英語で会話を始めました。これにはちょっとびっくり。

彼の名前はChid(Kid)さん。

この「像のレスキューキャンプ」を運営しています。



彼は本当に目がキラキラしていてとても嬉しそうに像のことを話してくれました。

そして彼は像と会話もできるんです。

もともと彼はイサーン(タイ東北部)の出身だそうです。イサーンはタイの中でも最も貧しい地域で彼も決して裕福ではなかったと言います。苦学して、名門チェンマイ大学のFaculty of Humanies (人文学部)に入学。学生時代はムエタイ選手としても活躍しました。

そして卒業後、8年間、僧侶の修行に出たそうです。

英語のほかスペイン語もネイティブ並みに話す超インテリの彼が、なぜここで像のレスキューキャンプを始めたのか話を聞いてみることにしました。

2015年12月、彼はJeabと言う名の象と出会います。

Jeabは商業用として背中に人間を乗せて歩くエレファンドライド用の象として利用されていました。ある時、金属の破片に足を踏み入れ、後ろ足両方に深い切り傷を負ってしまいました。その切り傷は11ヶ月間に渡って放置され、前のオーナーが適切な処置をしなかったため、両足がひどく感染していました。

彼女がRescue Campに保護されてやって来た時はもはや手遅れの状態でした。

ただ、彼女はここにいる間、みんなに囲まれて良い食事と手厚い保護のもと、幸せな時間を過ごしました。それから数ヶ月後、彼は3百万THB(日本円で約1000万円)を払って彼女を買うことを決断をし、何とか自分の手で救おうとしました。

ただ、努力むなしく、201664日、獣医の説得でとうとう彼は象の専門病院に彼女を連れて行きます。そこで10日間の治療の末、とうとう自力で立てなくなったJeabはそのままこの世を去りました。彼女の亡骸をRescue Parkに持ち帰り、彼女が過ごしたその地に埋葬し、彼は永遠に彼女たちと一緒にいることを誓ったのだそうです。



「人間の勝手な都合で動物たちが不当に利用されているのはアンフェアなことです。自分は生涯かけてこの象たちの面倒をみると決めたんです。」

「それまではまさか自分がこんなことをするとは夢にも見ていなかった。いい大学をいい成績で出て、いい会社に入っていい給料をもらっていい生活をするものだと思っていました」

「今でも人は自分のことをクレージーなやつだと言います。だって死ぬ間際の象に大金払って買うなんて誰が見ても馬鹿げています。」

「でもこれが自分の人生だと悟ったのです。誰に何を言われようと自分の心を突き動かすものがこれなんです。」

「毎日がとても充実しています。お金はご覧の通り全然ないけど、なんとかやりくりしてやってます。何より楽しそうな象たちを見ているのが幸せなんです。。。」



チェンマイの山奥で出会った、ダイアモンドのように輝く心をもったタイ人青年。

そして彼の溢れる愛情のもとで、幸せな日々を過ごす象たち。

どの子も本当にとっても人懐こくて、みんな優しい目をしていました。


こんな素敵な人生があるのですね。

心が浄化されました。


彼らにはここで逢えます。

チェンマイに来られたらぜひ立ち寄って見てください。

あなたもきっと何かを感じるはずです。





注記:こちらはいわゆる象の観光ツアーではありませんので、象に乗ったりはできません。彼らと一緒に優しく穏やかな時間をお過ごしください。ザ・キャンプムエタイリゾート&アカデミーからは車で40分くらいです。送迎もあるとのことでした。


閲覧数:126回

最新記事

すべて表示
bottom of page