<クンユアム~メーナジャーン>
今回の旅の最終目的地、一番多くのトレーナーを輩出している村へと向かいます。
クンユアムからさらに道無き道を約3時間。
Google Mapにも出てこないような目的地の村が見えてきました。
急峻な山に囲まれた渓谷の中に、ひっそり隠れるように存在している村。

ここでは世界中で起きている犯罪、暴力、ストレス、争い、などとは無縁のような、平和でスローな風が吹いている気がします。


粗末な高床式の家屋の周りでは鶏が鳴き、牛が人間と同居しています。


まずは到着早々、村人たちの新年のお祈りがあるとのことで集会所へ直行。
そう、ここはクリスチャンの村。
カレン族(ガリアン)の多くは敬虔なキリスト教徒なのです。

謎すぎる。なぜタイのこんな山奥にキリスト教徒の村があるのだろう?
詳しくはこちらに興味深い記事が出ていました。ご参考までに。
https://www.cromagnon.net/karen-myth-tragedy
世界、特に中東からアジアにかけての複雑な問題の背後には必ずと言っていいほど傲岸不遜なイギリスの姿が見え隠れします。そのかつての大英帝国も今やプレゼンスは凋落し、アジアとの対比で言えば、もはや国家として衰退の途をたどるのみ。これも歴史の必然でしょうか。
お祈りの後、村の人たちからまたまた歓迎を受けました。

聞けば約70年以上前に、この村に日本の兵士が身を寄せていたことがあったそうです。
私たちはそれ以来の日本からのお客様ということで、それこそ村中の人たちが初めて見る日本人だったようです。
トレーナーたちの実家を訪ねてご両親にご挨拶。
大切なご子息をお預かりしておりますので責任重大です(笑)



毎日が発見の連続。あっという間の4日間でしたが、ザ・キャンプ にとっても自身にとってもとても意義深い旅でした。
いつか機会があればぜひまた行きたいと思います。
<あとがき>
僕は今、牛舎の上の、筵の上に横たわって、こんな天井を見ながらこれを書いている。

僕の寝床のすぐ下には水牛がゴソゴソしている。

ふと思う。。
この地球上には70億を超える人が住んでいて、みなそれぞれの運命を生きている。
みんなその生を全うすべく生きている。
カレン族は貧しい。
みすぼらしい衣服を身に纏い、朽ち果てた家に一族郎党、家族全員で住んでいる。
でも僕の見る限り、彼らは誇り高く、限りなく純粋で清らかなのだ。
彼らは多くを望まず、足るを知る。 あぶく銭で買うブランド品なんていらないし、余計な見栄も承認欲求もない。 みんなでお腹いっぱいご飯が食べられて、健康で仲良くにこにこしていられれば十分なのだ。
争いを好まず、共存共栄という考えが彼らの人生の基本にある。
元気のいい若者は街へ出て稼ぎ、故郷の年老いた父母に仕送りをする。
この村ではもうずっと何世代にもわたってこういうエコシステムが受け継がれている。
ムエタイ選手、トレーナーという生き方もこのエコシステムの一部に過ぎない。
今回、トレーナーたちの原点に触れるべく、彼らが生まれ育った村にやってきて、なるべく彼らのしてきたような生活を体験してみるつもりだった。
でも正直、都会育ちの僕にはなかなかハードルは高く(特に食べ物とトイレ)たぶん僕はまだほとんど何もわかっちゃいない。。。
でもこれだけは言える。
僕は今回の旅で君たちから何かとても大切なことを教えてもらったような気がする。
それは都会暮らしの僕たちがもうずっと忘れてしまっていたことだ。
他人のノイズに悩まされず、今の自分の時間を愚直に生きるこ
腐ることなく、奢ることなく、己の人生を潔く生き抜くこと。
<トレーナー諸君へ>
今回の旅でたくさんのカレン族の人たちに本当に心からよくしていただいた。
僕にも何かお返しをさせてほしい。
今の僕にできることは何だろう。
まずはザ・キャンプ の事業を通じて、君たちにもっとたくさん給料を払えるようになって、実家の両親や家族、村のみんなの生活が少しでも楽になるように、僕は経営者として更なる努力をしよう。
そしていつか村の子供達が君たちの背中をみて、ムエタイの世界を目指すのなら、僕は彼らの未来を全力で応援しよう。
かつて君たちが、心ある大人たちにそうしてもらったように。
それまで僕はもう少しここにいるつもりだ。

2019年4月14日 メーホンソンの名もなき村にて
Droneで撮影した村の全景