この動画皆さんもどこかで観たことがあると思います。
1990年、当時35 歳のスティーブ・ジョブズは「品質」についてインタビューで次のように答えています。
「面白いことにマーケティングを重要視していない人たちがいます。それは日本企業です。
日本企業がマーケティングをうまく活用しているのを見たことがないでしょう?そんなことをするのはアメリカ企業だけです。それでも、街の人々にどの製品が最高の品質を持っているか聞けば、日本の製品だと答えるでしょう。なぜそうなるのでしょうか?
その答えは消費者はマーケティング力で企業を評価するわけではないからです。顧客は「どの企業がデミング賞やボールドリッジ賞などの品質アワードを獲得したか」などには左右されません。彼らは自分たちがその製品やサービスを実際に使ってそこから得た体験から、その企業について自ら評価をするんです。
なので膨大な予算をマーケティングに費やしどれだけ素晴らしいアワードを獲得したところで、製品がその期待に応えていなければ、顧客のその製品やサービスに対するイメージは簡単に忘れ去られてしまうでしょう。
だからこそ私たちは製品やサービスの品質にこだわることから始めなければならないのです。マーケティング活動ではなくてね。
基本に立ち返り、製品やサービスの品質向上を行うこと。
僕がここで言う「品質」とは、製品やサービスだけではなく、最適なプロダクトであるという点です。市場に求められる最もイノベーティブな製品でありサービスでなければなりません。そのことは製品の作りや品質と同じくらい重要なのです。
今後市場をリードするような企業は品質管理のテクノロジーを製造工程だけでなく、セールスやマーケティングのプロセスにも導入し、できる限り顧客に近いタッチポイントを作っていくでしょう。そこで顧客のニーズをいち早く理解し、それを反映したプロダクト作りからデリバリーに至るまで、超効率的なプロセスを構築します。それによって瞬時に顧客のニーズを理解した、最適でイノベーティブな製品を生み出すことが可能となるのです。
多くの会社では、新しい人が「なぜこのようにやっているのか」と尋ねると、「これがここでのやり方だから」とか「これがいつもやっている方法だから」という答えが返ってきます。私の考えでは、「品質思考」の最大の貢献は、これらの方法やプロセスに科学的にアプローチすることです。なぜそれを行うのかという理論があり、何を行うのかという説明があり、そして最も重要なのは常に自分たちのやり方を問いただす機会があることです。
これは従来のやり方とは根本的に異なるアプローチです。「いつもこのようにやっている」というのではなく、この一つの変化がすべてだと思います。これは企業で働く人々について非常に楽観的な見方を示しています。彼らは単なる駒ではなく、非常に賢い存在であり、変化と改善の機会が与えられれば、彼らはプロセスを改善するでしょう。そして、私はこの楽観的な人間主義が非常に魅力的だと感じています。実際にこのことが機能している例は無数にあります」
最近では巷にYoutube, Tik Tok, Instagram, FacebookなどのSNSが溢れています。自分たちのプロダクトやサービスがこれらのSNSによっていかに多くの人に認知され、興味を持ってもらえるかに多くの企業が関心を寄せています。特に最近ではどこの会社も「うちもYoutube始めないと」みたいなプレッシャーもあってコンテンツはまさに玉石混交です。
無論、私たちのムエタイジムも「トレーニング」というサービスを提供していますので、ザ・キャンプムエタイジムについての認知をいかに高めるかということは私たちの大きな関心事の一つです。
最近では毎日のようにSNS マーケティングのエキスパートなる会社からWebサイトやSNSなどのWEBマーケティング施策についてたくさんの提案がきます。でもそんな時は冷静になってこの動画の中でジョブズの言う「製品・サービス」を「ムエタイトレーニング」という言葉に置き換えてみるようにしています。
驚くことに今から35年も前に、ジョブズは古典的マーケティングの限界について言及し、マーケティングよりも顧客の満足度を高めることに経営リソースを割くべきであって、それによって得られた顧客の体験を反映したUGC(User Generated Content)をいかに増やすかが重要であると明言していました。
私たちのようなサービス提供側は当然ながら「自分たちの見せたいもの」「アピールしたい点」をさまざまな露出機会を使って消費者に訴えかけようとします。
でも消費者の私たちはどうでしょう?
私たちが「何かを買う」「どこかにいく」「何かを選ぶ」などの選択行動の過程においては、一方的な企業側の広告宣伝よりも実際の製品の使用感やサービスのレビューを参考にすることが多いのではないでしょうか?
果たして「ザ・キャンプのトレーニング内容は顧客にとって最適であるか?」
日々自問自答しています。
今の時代、PRマーケティングの分野ではある程度「盛る」ことも大事なのでしょうが、そんなことよりもそもそもサービス=トレーニングの質が十分に高いことの方がはるかに重要であると思うからです。
ジムに来て、縄跳び飛んで、シャドーして、それぞれ勝手にバッグやって、トレーナーと3分3ラウンドのミットやって、その後、首相撲やって簡単なフィジカルやって最後にストレッチして終わり、みたいな別にどこのジム行っても変わらないようなトレーニングならわざわざ遠くからタイにまで来ていただく意味がありません。せっかくチェンマイまで来ていただいている以上、ゲスト一人一人に最大限の満足度を得ていただきたいと思っています。
さて、ジョブズの言う、顧客のニーズを理解した最適でイノベーティブな「製品・サービス」を当ジムに当てはめるなら、「ゲストそれぞれのレベルに合わせ、直したい癖や向上したい技術などの現状の課題をお互いに共有し、目的に合った反復練習をすることで、ゲストの課題解決につながるようなトレーニング」ということになります。そのためゲストの方にはトレーナーと共により多くのドリルをこなしていただくようにしています。また習得したことを忘れないように帰国してからもジムで一人で繰り返し練習できるようなドリルメニューも同時に紹介しています。
「美しさ」に徹底的にこだわったジョブズ。 ジョブズは「全ての製品・サービスは美しくなければ意味がない」と常々言っていました。
ザ・キャンプムエタイアカデミーも今まで以上に「トレーニングの質」にこだわり、ゲスト満足度の向上に最大プライオリティをおきたいと思っています。これからもどうかご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
¡Un buen día! 良い1日を